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 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。

WhiteCUL

 眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。

ナースロボ_タイプT

そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。

雀松朱司

婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄の季節まで待ってくれ、と答えた。

猫使アル

メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。婿の牧人も頑強であった。

あいえるたん

なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。

ずんだもん

結婚式は、真昼に行われた。

ナースロボ_タイプT

新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。

琴詠ニア

祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍うった。

後鬼

メロスも、満面に喜色を湛え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。

中国うさぎ

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