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無だと云うのにやっぱり線香の香においがした。何だ線香のくせに。

春日部つむぎ

自分はいきなり拳骨を固めて自分の頭をいやと云うほど擲った。そうして奥歯をぎりぎりと噛んだ。

小夜/SAYO

両腋から汗が出る。背中が棒のようになった。膝の接目が急に痛くなった。

麒ヶ島宗麟

膝が折れたってどうあるものかと思った。けれども痛い。苦しい。無はなかなか出て来ない。出て来ると思うとすぐ痛くなる。

もち子さん

腹が立つ。無念になる。非常に口惜しくなる。涙がほろほろ出る。

冥鳴ひまり

ひと思に身を巨巌おおいわの上にぶつけて、骨も肉もめちゃめちゃに砕いてしまいたくなる。

春日部つむぎ

それでも我慢してじっと坐っていた。堪えがたいほど切ないものを胸に盛いれて忍んでいた。

櫻歌ミコ

その切ないものが身体中の筋肉を下から持上げて、毛穴から外へ吹き出よう吹き出ようと焦るけれども、どこも一面に塞がって、まるで出口がないような残刻極まる状態であった。

ナースロボ_タイプT

そのうちに頭が変になった。行灯あんどうも蕪村の画も、畳も、違棚ちがいだなも有って無いような、無くって有るように見えた。

栗田まろん

と云って無はちっとも現前しない。ただ好加減に坐っていたようである。

中国うさぎ

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